ギリシャ化:出来るだけ国内市場で国債消化 |
引き合いに出すのが「ギリシャの財政危機」。
「ギリシャのようになって一番困るのは、年金が
減らされ、仕事が無くなる一般国民だ」と今も遊説
しまわっています。
確かに、EUと国際通貨基金(IMF)は今年5月、
大規模な金融支援の見返りに、ギリシャに大幅な増税
や年金削減、公務員の給与引き下げなど厳しい財政再建策
を迫ったので、国民はそれに反発し、ゼネストも起こしました。
そりゃそうですよね、なぜこんな理不尽な政策を
非ギリシャ人であるEU やIMFが要求できるのでしょうか・・・
菅首相はそんなギリシャの惨状を例に「日本も財政悪化
を続ければ、社会保障の根幹が崩れ、国民生活が破壊
される」と訴えているのです。
しかしながら、日本の場合、国内市場での国債消化率
は95%ほどですので非日本人であるIMFが内政干渉
したくても出来ません。
一方、ギリシャの国内市場での国債消化率はたった
30%ほどですので今回のような理不尽な要求を甘受
しなければならなくなった訳です。
言い換えると、国内市場での国債消化率が低い国は、
勝手気ままで短期利益を追求する外国人投資家がその
国の事情を考慮せずに、なにかことが起きれば保有国債
を大量に処分売りするリスクを抱えることとなり、その
リスクが表面化すると国債発行金利は上昇し、その国の
資金調達コストがかさみ、そして資金調達はどんどん
難しくなり、資金調達をIMFなどの国際機関に頼らなくなり、
条件として理不尽な要求を飲まなくなるわけです。
このような「ギリシャ化」は西ヨーロッパのほとんどの国で
起こってもおかしくありません。
1970年代に入ると欧米各国は成長鈍化に見舞われて
財政赤字をどのようにして埋め合わせるかがテーマとなり、
国内の貯蓄を利用するだけでなく外国の貯蓄を利用する
妙案に気づいたわけです。
特に、米国では1980年半ばから、国内貯蓄が尽き、貿易赤字
と財政赤字をどうやって補填すればよいのかが悩みでした。
そこで貯蓄がある国から持ってくればよいと考え、当時なら
(現在でも)日本とドイツ、そして今では中国であるが、
外国の貯蓄を国内のお金の循環システム内に取り入れることで
国内貯蓄が無い問題を解決できる戦略的対応を取った訳
です。
それがグローバリゼイションの真の目的であり、金融の
規制緩和だったと言う事です。
そして今西ヨーロッパ各国はこの金融規制緩和の代償が
国際金融市場からの納得しがたい評価に対して隷属しな
ければならないリスクがであることに気づき始めました。
又、こういったリスク回避には日本のように出来るだけ
国内市場で国債消化を行うことがベストだと気づき
始めました。
Alternatives