大阪都構想:二重行政が世界の常識、その方が効率的、効果的 |
からほっといて、いちいち干渉しないで。」
という事です。
大阪都構想のモデルとなっている東京都の自治の
仕組みは現存する世界で唯一の自治の仕組みです。
戦時下において、自治体の自治を認めてしまうと
物事がスムーズに運ばないので、東京市を無理やり
区に細分化し、資産・権限・財源を取り上げて、
それら全てを東京都が一元管理することで自治
を完全に無くしてしまいました。
言い換えると、戦争が無ければ実現しようが無い
ほど住民の意向を完全に無視した自治の仕組みだと
言う事です。
戦後、この大枠を元に戻さず、権限・財源だけを
少しづつ各区に戻してきていますが、それでも今
なお東京都23区の権限・財源は人口の少ない
一般の市の権限・財源より劣っています。
そして、東京都からの財政援助無しには各区は運営
できないし、消防や,大型の建物の建築確認は都の
権限ですし、法人市民税等を徴収できないので、産業
政策に熱心になりようがありません。
したがって、東京都の基礎自治体である23区にとって、
なにかあれば大阪府にお伺いを立てなくとも、国に
直接相談できるほどの自治権限を持つ現在の大阪市
は雲の上の存在となります。
そこで、基礎自治体である23区をコーディネイトする
重要な役目を持つ、世界の常識である二重行政体制下
での大都市「東京市」の復活を望む声は年々高まって
いますが、なにせ官僚様の報道機関である電通マスゴミ
NHKはこの戦後積み残し問題を報道しないので、
東京都民は全く興味を示さず、全く覚醒しません。
官僚様にとっては、工業先進国で最強の中央集権体制
を維持する為には、現在の東京都のほうが都合がよく、
もし「東京市」が誕生すれば、新たに自治意識を持つ
900万人弱の選挙民が誕生してしまう結果となり、強固
な中央集権体制が揺らぐきっかけとなるからです。
なぜなら、900万人弱の選挙民に選ばれた東京市長は
交通、建築、土地利用、戦略的経済発展、文化、環境
の政策を独自に決める事が出来る様になるからです。
「東京市」復活に関して、東京商工会議所の提案文書
(東京商工会議所2008)によると:
「(前略)しかし,広域自治体である都が住民に
身近な事務をも行うことで過度に組織が肥大化する
という弊害が出ており,一方,23区は狭小な区域と
限られた権限や税財源しか持たず,財政調整に依存
していることもあって,基礎自治体としての自己決定
と自己責任を果たすことが困難である。従って,
都区制度は廃止すべきである。(中略)
魅力ある世界都市・東京を実現し,その行政を効果的・
効率的に行うためには,様々な面で見られる一体性
を維持し,東京23区部において自己決定と自己責任
を果たすにふさわしい自主自立の基礎自治体として,
基本的には東京23区部を一体とする新たな「東京市」
が必要である。この東京市は都が果たしている基礎
自治体の役割を効率的・効果的に果たすのにふさ
わしい区域である。」
要するに、東京23区部を一体とする新たな「東京市」
を復活(地方分権)する事が行政効率を高め、行政
効果を生み出すと主張している訳です。
こういった流れに真っ向から逆らう今回の大阪市民
が保有する強大な自治権を自ら大幅に縮小したいと
言う(地方集権)、何と表現すればよいのか、唖然
とする今回の愚かな行為をどのように理解すれば
よいのか、戸惑っている方は多いと思います。
そこで、参考となる英国で起こったドタバタ劇を
紹介したいと思います。
そのドタバタ劇はメディア王マードックの後押しで
登場できたサッチャー元首相の大ロンドン一元化構想
から始まりました。
それまでの大ロンドンはGLC(Greater London Council)
と基礎自治体(32区とシティ)の二重行政体制でしたが、
英国病で長年苦しんできた英国民には首相が唱える大ロンドン
一元化構想はなにか長年の閉塞感を打破してくれるだけの響き
がありました。
この思い切った構想の説得力に使われたキーワード
が「二重行政を一元行政に変える事で、行政効率を
上げる」です、そうあの新自由主義者が好きなあの
「効率」です。
新自由主義者の単純思考は、二重行政をなくせば
「効率」が上がるです。
が、物事はそう単純でなく、大ロンドン一元化案
成立により、GLCが廃止されたのでGLCが持って
いた権限・財源が基礎自治体に移譲され、そして
その資産処分はLRB(London Residuary Body)
が担当しました(分権)。
因みに、大阪都構想では大阪市が持つ権限・財源
・資産が基礎自治体に移譲されるのではなく、
なんと大阪都(大阪府)に移譲されます(集権)。
話を戻すと、その結果により二重行政はなくなり、
行政効率はその分確かに上がりましたが、中途半端
な権限・財源しか持てない基礎自治体はそれぞれ
バラバラの行政を行い、またより大きなビジョンを
必要とする交通政策や戦略的経済政策などにはどう
しても熱心でなくなるので、大ロンドン全体として
の纏まりや活力が失われる結果となりました。
そこで、直ぐにGLCの役割を果たすべきGLA
(Greater London Authority)が2000年に
創設され、その主導権はロンドン市長が握り、
その市長の仕事を監視するのはロンドン市議会
となり、ドタバタ劇の幕は閉じられました。
因みに、今回の大阪府と大阪市の二重行政の弊害
として取り上げられた水道事業の弊害コストはたった
1年あたり18.4億円だと見積もられています、一方で
大阪府庁移転の失敗によって被った数百億円の損失は
どうでもいいのでしょうか・・・
より重要な事は、世界の常識である二重行政下での
大阪の活力を維持するには、大阪市民がお上に頼る
のではなく、大阪市民自らが知恵とカネ(中ノ島公会堂、
大阪城天守閣復興、世界で最初に先物取引を始めた。)
を出して、大阪発展に貢献してきた先人のやり方を
見習って、そのやり方を踏襲するのが浪速っ子の誇り
じゃなかったのではないでしょうか・・・
Alternatives