大飯原発再稼動問題:関電の「最終保障義務」違反 |
「最終保障義務」があります。
その保障義務を果たしてもらう為に、地域独占
を認め、総括原価方式という必ず利益が出る
計算に基づいた電気料金を利用者に請求出来る
特権を電力会社に与えている訳です。
従って、電力会社はその保障義務を果たす為
のあらゆる努力が求められます。
ので、3・11以降関電はそういった努力を
してきたのかどうかという検証が必要(特に
宮津火力と多奈川火力について)ですが、
最初から再稼動させる意思が全く無かったと
考えざるおえません。
更に、東電は電力供給能力を増やす為に、小型
発電機かき集め、現在までに200万kWを
超える電力を上積みできる能力を確保しましたが、
関電が上積み出来た電力量はたったの2万kWに
すぎません。
東電は余裕が出てきたので3月末でこれまで米国
GEから借り受けていた25万kWの発電設備を
返したそうですが、なぜ関電はそれを借り受け
しなかったのでしょうか、今頃交渉中だという事
ですが、もし去年から本気でGEにお願いに行っ
ていればとっくに今頃契約が成立していただろう
と言われています。
更に言えば、管轄外の電力会社から電力を融通
してもらうか、管轄外の電力会社にも休止中の
火力発電があるはずですから、それらを限定期間
稼動してもらう方法もあります、その為に大金を
投入して全国送電線網を完成させているんですから。
こんな最終保障義務感が全くない、デタラメな
関電があろうことか今頃になって、計画停電も
辞さないぞと利用者を脅している訳です。
これは、あってはならない事です、なぜなら
最終保障義務を負うのは管轄の電力会社一社で、
利用者はその一社しか利用できないからです。
要するに、最終保障義務はあくまで、管轄の
電力会社にありますので、利用者側の努力義務
は課せられていません。
また、利用者が最終保障義務を負わない電力
供給者を選べる選択肢はないので、利用者側
に責任を転嫁できません、あくまで最終保障
義務は管轄の電力会社にある事になります。
本来なら、関電は3・11以降は原発が稼動
できなくても安定的に電力供給できる体制作り
に邁進すべきだったのに、そうしなかった事実
を一切報道していません。
去年に東電が輪番停電を行った時に、関電が
もし「電力が足りなくなる恐れがあるから、
計画停電か大飯原発再稼動しか選択肢がない」
キャンペーンを展開していたら、「十分に対策
を取る時間があるじゃないか」と利用者側から
反論される事が分っていたので。
今頃になって、こんな子供騙しキャンペーンを
展開している訳ですが、勿論、こんな子供騙し
のメッセージを思いつくのはウラン官僚です。
情けないのは、子供騙しメッセージであろうと
なかろとカネさえ貰えれば日本がどうなろうと
かまわないと考える自爆テロリストの存在です。
今回の件で言えば、電通マスゴミNHK特に、
新聞・TV解説者、橋下大阪市長です。
こんな事ができるのも、原子力村は未だに資金
が豊富だからです。
電事連を通じて現ナマ爆弾(元々は我々の電気
料金)を投下できる立場を堅持できているからです。
橋下大阪市長は、特に悪質です、なぜなら平松
前市長がせっかく夢洲で進めていた液化天然ガス
発電所新設計画用地を将来のカジノ用地に転用
したいので、その計画を凍結しているからです。
火力発電の建設は数ヶ月で完成するのですが、
アセスメントに数年かかってしまいますので、
本来なら橋下大阪市長は国の関係機関と掛け
合って、そのアセス期間を大幅に短縮してもら
い、早期に建設着工すべきだったのですが・・・
とにかく、関電の社長を国会によんで、最終
保障義務を課せられている責任者として、これ
までの法定義務を十分に果たしてきたかどうか
を国会で追及し、再稼動しなくても、電力は
十分足りているのだから、必要のない計画停電
を回避させる方向に持っていくのが脱原発派
国会議員の本来の仕事です。
こういった努力を一切しない国会議員は原発
推進派議員とレッテルを貼られてもしかたが
ありません。
ところで、電力不足といっても、一日中電力不足
になる訳ではありません、昼間の数時間ほど、
それも非常に暑い夏の日だけの問題です。
言い換えると、一年内の、夏の数日の内の、
数時間の電力ピーク時の電力供給をどうした
らいいかという問題です。
この問題に対処する為に、各電力会社は大口
の利用者との間で、「需給調整契約」を結ん
でいます。
そうなんです、小口利用者には節電節電と言い
ながら、一方では大口利用者だけにはこんな契約
を結ぶ機会が与えられていた訳です。
大口の利用者は需給逼迫時の電力カットを容認
するだけの契約を結ぶだけで、更に料金が安く
なります(元々業務用は家庭用より安い)。
実際には、3.11以前には電力カットは一度
も行われてこなかったのですから、完全に坊主
丸儲けの契約ですね。
重要な事は、去年行われた輪番停電の際にこの
「需給調整契約」が最大限に実行されずに、馬鹿
高い家庭用電気料金を負担している一般の使用者
がその尻拭いをさせられたのではないかとの疑惑
が浮上しています。
より重要な事は、この件に関して、関電は完全に
サボタージュしています。
実際に、去年関電が大口利用者と結んだ需給調整
契約の契約件数はたった260件で、この契約に
よりカット出来る最大値は49万kWしかなり
ません。
驚くべき事に、今年は更に少なく24件しかなく、
カット出来る最大値は36万kWにすぎません、
意図的に減らしているのは明らかです、非常に
悪質であると言わざる終えません。
それにしても、本当に電力不足で大停電が起こる
可能性あるなら、政府は速やかに、企業の発電
設備投資減税を行ったり、政府系金融機関の融資
を利用して各電力会社が新規の火力発電を建設
すれば解決出来る事なのに、なぜそうしないの
ですかね・・・
火力燃料価格問題なら、全く問題がないどころか、
これこそ円高メリットが最大限に生かせる問題です、
ただ電力会社としては総括原価方式なので、大口
顧客として売り手と価格交渉するメリットありません。
なぜなら、いくら安く買おうが、利益が増える訳
でないからです、しかもその法外な価格を自動的
に電気価格に転嫁できてしまうからです。
その結果、トンネル会社を通じて市場価格の10倍
ほどの馬鹿高い価格で買っています、そのほうが
あとで、さまざまな形のバックマージンがはいるので、
トンネル会社や電力会社の関係者はその分良い思い
ができますからね。
東京電力が北米産の新型ガス「シェールガス」
の購入を検討している事が明らかになりました、
早ければ2016年から調達するそうで、価格は
今の日本向け液化天然ガス(LNG)の半値に
抑えられる見込みとなっています。
もっとはるかに安く買えるはずですが・・・
それにしても、なぜもっと早くこうした対策が
取れなかったのでしょうか、米国では1990年代
から新しい天然ガス資源として重要視されている
事実は、関係者なら常識だった訳ですから。
因みに、火力燃料に関して原子力村が流して
いるデマ「中東危機が起これば原油価格が暴騰
し、火力の発電コストが跳ね上がる」ですが、
事実は火力の主要燃料は石炭と天然ガスです、
原油は主に工業製品の原料でその精製過程で
出てくる重油を全て捨てるのは勿体無いので
ボイラーや火力の燃料として使っているのが
現状です。
実際に、2010年では、石油が占める割合は
全体の15%に届かず、天然ガスが40%ほどで、
石炭が40%ほどです、今後火力発電の燃料と
して石油を使う割合は更に減少していくと予想
されていますので、中東危機が与えうる影響
は更に小さくなっていくと考える事が出来ます。
発電設備投資減税の話に戻ると、現在、銀行は
融資先がなくて大変困っている状態ですので、
企業にとっても売電価格がペイする価格で買い
取ってもらえるなら、そして設備投資減税の
メリットを享受できるなら、多くの企業が発電
設備投資に動きます。
忘れてならないのは、日本の将来のエネルギー
の大黒柱となりうる地熱発電開発、特に
「高温岩体地熱発電」に人・モノ・カネ
を投資すべきという課題です。
Alternatives
P.S.
「またも政府のウソ発見!原発6基分の埋蔵電力
が隠されていた!!」
というよりも、なんども言っているように、
本当に電力が足りなければ、企業の自家発電分
を増やし、その増えた分を各電力会社が買って、
その分を全国送電網に乗せて、各電力会社から
融通してもらえば簡単に電力供給能力を増やせ
ますし、火力燃料価格問題にしてもシェールガス
革命で天然ガス価格が暴落しています。
要するに、今や電気を作れるのは電力会社だけ
でなく、全国にある何十万社とある企業が電力
会社に電気を売電しようと思えば出来る存在に
なっている訳です。
電力ピークカット問題は「需給調整契約」件数
を増やす事で対処出来ます。