民主主義に基づく 「米国版:法律ができるまで」の10過程 |
過程1:「法案誕生」
誰でも、法案を起草してもいいのですが、議員だけが
法案を提出する事ができます。
そして、その法案を提出することで、その議員はその
法案のスポンサーに成る事(法案名にスポンサー名を
冠する事が出来る)ができます。
大統領は、法案を提出する事はできませんが、提案する
ことができます。
ですから、どうしても法案を提出したい時は、提出権の
ある議員に頼んで、その法案を提出してもらう方法が
採られます。
ですから、議員だけが「law-maker」と呼ばれ、大統領
は、行政の長として、その法律を忠実に施行する責任を
負っている訳です。
要するに、議員(law-maker)と行政官(law-implementer)
の長である大統領と裁判官(law-interpreter)とそれぞれ
役割が異なります。
従って、行政官はlaw-makerにもlaw-interpreterにも
なれません。
過程2:「委員会アクション」
提出された法案は、委員会の俎上に載せられる手筈に
なっているのですが、
ある法案は全く見向きもされずに、事実上の「死案」に
成る場合もあります。
過程3:「分科委員会審査」
法案の多くは、検討・聴聞分科委員会の俎上に載せられ
ます。
聴聞では、内閣・専門家・他の官僚・法案の賛成反対者
の見解を記録する機会が与えられます。
過程4:「修正」
聴聞が完了すると、分科委員会は法案の修正作業に入り
ます。
即ち、法案を委員会に推薦する前に、法案に変更・修正
を加えます。
仮に、分科委員会で投票が行われ、委員会に報告しない
と決まると、その法案は「死案」となります。
仮に、委員会で法案に賛成票が投じられれば、その法案
は議場に送られます。
過程5:「法案を報告する為の委員会アクション」
法案に関する分科委員会の報告を受け、
委員会が、上院又は下院へ推すかどうかの投票行動を行い
ます。
この過程は、「法案報告命令」と呼ばれています。
過程6:「投票」
ディベート及び修正承認の後、
その法案は両院を通過するかしないかの投票が行われます。
過程7:「両院のどちらかに行く」
下院か上院を通過した法案はもう一つの院の俎上に載せら
れますが、
その際、両院とも、委員会と議場という同じルートを通常
は辿ります。
両院ともに、受け取った法案を賛同、拒否、無視、変更の
何れかの選択肢でも可能です。
過程8:「協議委員会アクション」
両院どちらかの院のアクションによって、法案内容が大幅
に変更されてしまった場合は、
両院の法案内容が大幅に異なるので、その大幅な違いを
調整する役目として、協議委員会が設けられます。
協議委員会での調整が不調に終われば、その法案は「死案」
になります。
仮に、調整がうまくいけば、協議委員会メンバーの変更勧告
を記述した協議レポートが準備されます。
その後では、両院には、その協議レポートに賛同する選択肢
しか残されていません。
過程9:「最終アクション」
両院で全く同様な形で、法案が通過した後、その両院通過
法案は大統領へ送られます。
大統領がその法案に賛同する場合は、その法案に大統領が
署名すれば、晴れて、その法案が法律となります。
議会が開会中に、大統領に送られた両院通過法案を大統領
が10日間放置すれば、その放置された法案は、自動的に
法律になります。
仮に、大統領が、送られてきた両院通過法案に反対の場合
は、その法案の署名を拒否できます。
次の場合も「ポケット拒否」ができます:大統領が署名を
拒否し、
10日以内に議会にその両院通過法案を議会に戻すことが
出来ない場合(なぜなら、議会が開会中でなかった)も
その両院通過法案は、「死案」となります。
過程10:「拒否権を無効にする」
仮に、大統領が法案署名を拒否した場合、その拒否された
法案を議会に戻し、
再度、両院で2/3以上の賛同を得れば、その法案は、晴れて
法律となることができます。
Alternatives