憲法53条:臨時国会の召集要求に応じないのは憲法違反だけではなく、内閣保有の選択肢を放棄した事となります |
憲法53条は、その1項で、内閣に臨時国会を召集する
事を決定する選択肢を与え、
その2項では、「衆参いづれかの総議員数の1/4以上
の召集要求があれば、内閣は1項の選択肢を必ず実行
しなければならない」と謳っています。
こうすることで、内閣が自らの責務(条約批准)を
スムーズに完結できる環境が整っている事になります。
で、なぜ、この様なまどろっこしいやり方を採って
いるかですが、
言い換えると、なぜ「内閣の章」に、一定の条件を
満たせば、臨時国会を開催できるとしなかったので
しょうか?
そうなると、三権分離の原則に抵触するからです。
また、あくまで国会開催の件なので、「国会の章」
に、一定の条件を満たせば、臨時国会を開催できる
としなかったのでしょうか?
そうなると、主役は国会になり、内閣になりようが
ありません。
そこで、内閣を主役にする為に、先ず、内閣に臨時
国会を召集する事を決定する決定権ではなく、単に
決定する選択肢を与え、
続いて、脇役の国会の要求があれば、主役の内閣が
自らが保有する選択肢を実行する決定を下さなければ
ならなくなる様な内容で締め括る必要がある訳です。
こうすれば、三権分離の原則に抵触することなく、
「国会の章」に、低いハードル(衆参いづれかの
総議員数の1/4以上)で、内閣が臨時国会を開催して、
条約の批准を獲得する事が可能となる条項を設ける
ことができることとなります。
言い換えると、三権分離により、内閣は臨時国会を
開催する決定権を保有していません(保有している
のは、選択肢です)。
所が、内閣は「内閣の章」の73条で、国会の批准が
必ず必要となる条約を完結する義務を負っています。
内閣がこの義務を果たそうとした(国会での批准を
獲ようとした)時、
たまたま国会が休会中だと、内閣は、その義務を
果たすことができません。
そこで、国会が休会中であっても、内閣がその義務
をスムーズに果たすことが出来る様にする為にという
ことで、
憲法53条が存在する訳です。
ですから、内閣は、憲法53条を活用して、臨時国会
を一刻も早く開催して、
官僚様がTPP交渉で、如何にすばらしい成果を勝ち取
ったかを国民に披露して、批准してもらおうとしない
のでしょうか。
それとも、TPP交渉で、交渉が出来ない、御用聞き
しか出来ない官僚様は、自分達が如何に無能なのか
を世間に晒したくないので、
批准国会開催を意図的に、大幅に遅らし(憲法53条違反)、
その期間を短期にし、出来れば批准国会を批准と全く関係
の無いスキャンダルで埋め尽くそうと画策しているので
しょうか。
何れにしろ、官僚様が憲法違反を堂々と、何度も繰り返せ
るのも、
ひとえに、裁判所の現役裁判官が口先介入(健全な牽制
行為)を行わないお陰です。
また、憲法81条に従って、最高裁が行わなければならない
違憲審査制度が未だに未整備状態だからです。