憲法27条;二千万人以上の非正規労働者が、憲法違反の過少支払い給与で働いています |
苫米地は日本国憲法第27条1項にある「すべての国民は、
勤労の権利を有し、義務を負う」という条文を持ち出し、
ニートは憲法違反であるとの見解を示し、
「憲法27条は日本国民全員が働く義務があって、(児童
以外は)酷使されるのは当たり前だと書いてある」と
解釈したそうです。
憲法99条で明記された人達以外は憲法を尊重擁護義務を
負わなくてもよい事実を認識せずに解釈してしまうと、
苫米地のような頓珍漢な解釈をしてしまう事になる訳
です。
要するに、憲法尊重擁護義務を負わなくてよい主権者
国民に義務を課す愚を犯していることに気付かない訳です。
適切な解釈は、身体的又は精神的ハンディキャップを
抱えた人達を含む全ての人達が、働く権利や義務を持て
る様な環境作りをすることは、
憲法99条で明記された人達(天皇又は摂政及び国務大臣、
国会議員、裁判官その他の公務員)の義務。
即ち、国の政治的義務であるという事です。
Article 27:
All people shall have the right and the obligation
to work.
Standards for wages, hours, rest and other
working conditions shall be fixed by law.
第27条:すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2項:賃金、就業時間、休息その他の労働条件に関する
基準は法律でこれを定める。
「違憲審査制度」(提訴されていなくても、最高裁が
憲法81条で保障された司法審査権限を活用して、国会
で可決成立した法律を司法審査する制度ですが、
合憲か違憲かが焦点ではなく、根拠憲法の条文解釈が
最重要点で、その解釈がその後の裁判で支配する合憲
解釈となります)
を使って、憲法27条を解釈すると、
国は、次の二つの政治的義務を負う:
「一つは、労働市場に介入し、労働者に相応しい労働
機会を提供する」政治的義務。
この政治的義務を果たして、1947年に職業安定法、
1960年に身体障害者雇用促進法、1966年に雇用対策法、
1969年に新職業訓練法、1971年に中高年雇用促進法が
それぞれ制定されました。
「もう一つは、国が労働者に相応しい労働機会を与える事
が出来なかった場合に備えて、労働者の暮らしを保障する」
政治的義務。
この政治的義務を果たして、1947年に労働者災害補償
保険法・失業保険法、1974年に雇用保険法がそれぞれ
制定されました。
従って、2項の労働条件、「労働者に相応しい労働機会と
言えるのか」と「労働者の暮らしを保障するのに十分か」
を
満たしていない労働条件は、憲法27条違反と判断すること
が出来ます。
同じような憲法条文内容を保有するドイツと比べて、日本
の正規労働者の賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に
関する基準は大きく異なりますが、
非正規労働者のそれとなると、問題外レベルとなります。
例えば、非正規労働者の時間当たりの賃金は正規労働者の
それより2割から3割割り増しになるのは、当然です。
なぜなら、期限付き雇用だからです。
この馬鹿馬鹿しいほどの違いの原因は、ドイツは憲法裁判所
や労働・行政裁判所が完備している法治国家ですが、
日本は、司法審査制度が今尚完備していない、ほとんど労働・
行政裁判が行われないという
開発途上国(放置国家というより痴呆国家)だからです。
全ての原因は、東大法学部閥を頂点とする日本の法曹界が、
東大法学部出身の超エリート官僚を頂点とする、選民意識を
保有する、官僚としては無能な、官僚様に完全に支配されて
いるだけでなく、
全くその社会的責任を果たしていないからです。
Alternatives