「緊急事態条項は万能カード」は都市伝説 |
「緊急事態条項が現行憲法に追加されると、内閣が
ジョーカーのような万能カードを手にしたも同然となり、
内閣の長である首相が緊急事態を宣言すれば、9条を含め、
現行憲法による憲法秩序は停止してしまう。」
との理解が広まれば、憲法を一から作り直さなくても、
何か超都合の良い条項を追加すれば、オセロゲームの様に、
その超都合の良い条項に反する条項全てを引っくり返せる
ことが可能となってしまい、
簡単に、憲法を無効化出来る事になってしまいます。
「そんな馬鹿なことが出来る訳ないジャン」と考える方
が真っ当です。
では、なぜこんな馬鹿なことを真剣に考える方が増えた
のかですが、
それは、ドイツでの出来事:「全権委任法成立により、
ヒットラー政権が全権を掌握できる事が可能となった」
との誤解が広がったからです。
正確な理解は、「全権委任法は憲法違反の法律でしたが、
憲法違反の判断を下し、その全権委任法を破棄する前に、
ヒットラー政権が恐怖と脅しで全権を掌握してしまった」
です。
ですから、ドイツは、戦後、憲法裁判所の権限を強化し、
違憲判断が下されたら、即、その法律を破棄することが
出来る様に変更し、
且つ、官僚の不穏な動きを事前に察知し、その動きが
国家転覆に繋がらない様に、
官僚には、詳細な記録を残す事を義務付けさせ、行政訴訟
が起こされれば、裁判所に、関連記録の提出を義務付け
ました。
因みに、日本では、官僚様の手持ち証拠の開示義務は
ありません。
ですから、ドイツでは、年間行政裁判件数は50万単位の
件数ですが、日本は、たったの2千単位の件数にすぎない
結果となり、
日本の官僚は、何でも好きな様にできる立場にあるという、
憲法99条が謳う憲法尊重擁護義務を果たさなければならない
立場にある官僚には、相応しくない立場にある事になります。
要するに、何か新しい条項を現憲法に追加する前に、その
新しい条項には、既存条項との整合性を求められるだけで
なく、
現行憲法前文と第一条に明記されている憲法の大原則で
ある「国民主権」との整合性も求められます。
でないと憲法の体をなしません。
「憲法は、整合性の取れない条項をただ並列した集合体」
との理解が跋扈してしまっています。
マッカーサー氏が「日本人は12才の子供」と適切に指摘
した通り、「東大法学部閥」には憲法改正又は憲法作成は
無理なのですから、
我々愚民がしっかりして、「東大法学部閥」を失笑し、
蹴散らさなければ、日本の立憲主義を貫くことはできなく
なります。
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