米国では、軍隊を支配する為の権力が議会に付与されています(シビリアン・コントロール)&政令を勅令に格上げする為に、「緊急事態条項」を憲法原文に追加。 |
日本の安全保障問題を議論する場合には、議論に参加している人達が
共通言語(言葉の定義を共通にする)で議論しないと
何時まで経っても生産的な議論とならないし、時間の無駄となります。
どういうことかと言えば:
憲法9条の解釈で「自衛隊は丸腰論に合致しないので、違憲。」を妄信
している人達と
「自衛隊は本土防衛専用隊論に合致しているので、合憲。」を信じて
いる人達とは、
議論が噛み合わないので、どうしても、議論が非生産的になります。
同じことがシビリアン・コントロール(C/C)にも該当します。
どういうことかと言えば:
日本でのC/Cの理解は、日本の最高指令官と防衛大臣がシビリアン
ならC/Cが効くという無邪気な妄信で成り立っています。
主権者皆様が保有する常識を少し働かせば分かる事ですが、
シビリアンがどの様にして軍隊をコントロールすることが出来るので
しょうか、出来ませんよね。
より重要な事実は、日本の最高指令官はシビリアンですが、司令権
である内閣令(戦争時に活用できる司令権)を保有できていませんし
日本の防衛大臣は、軍人の経験がありませんし、司令権である内閣令
(戦争時に活用できる司令権)を保有できていません。
じゃあ、誰が日本の最高司令官なのかですが、政令官僚様(事務次官
会議メンバーの誰か)しか居ませんが・・・
で、米国でのC/Cの理解は、史実に基づいた信念です。
王様が率いる英国軍とC/C下にあった米軍が戦い、勝利した史実に
基づいて、
現行の米軍憲法を草案する際に、憲法にC/Cを採用:
シビリアンが軍隊をコントロールするには、軍隊の人事や予算に干渉
できる権力を議会に付与しなければ、不可能です。
具体的には、憲法が軍隊を育て、サポートする権力を議会に付与しま
したので、
議会が軍隊のルール(上官昇進システムなど)を決定する権力を獲得
することが出来ましたし、軍事予算は議会の承認が必須です。
そして、仕上げは、議会が、戦争を宣言する権力を得ることが出来
ましたので、
議会の戦争宣言なしには最高指令官である大統領は軍隊を1ミリとも
動かすことが出来ません(←権力分離)。
また、国防長官(日本では防衛大臣にあたる)は軍人経験者が選ば
れています(10年の民間人期間が必須)。
こうすることで、シビリアン(市民の代表者である大統領・国防長官・
議員)が軍隊を支配することが、可能となります。
要するに、憲法が最終的に軍隊を支配していることになります。
ですから、大統領が違憲の内閣令で軍隊を動かす命令をした際には、
上官はその内閣令に従う義務はないというルールが確立しています
し、
朝鮮戦争の最中で、鉄鋼会社の労働者が大幅な賃上げを求めて、
ストライキを敢行したので、
怒った大統領がその鉄鋼会社を接収する為の内閣令を発行、
その鉄鋼会社の経営者は、その内閣令の違法審査を請求→裁判所は、
その内閣令を違法内閣令と判断しました。
で、上記の米国での内閣令の活用法を適切に理解できると、本命の
憲法改正である「緊急事態条項」の欺瞞性を簡単に見抜くことが
できます。
なぜなら、和文憲法73条6項の「政令」は内閣令の様な活用法が可能
だからです。
要するに、米国では、内閣令は議会の承認が不必要なので、戦争時や
大恐慌時には、大量に発行されてきた歴史が存在するという事です。
ですから、「緊急事態条項」を現行憲法に追加修正しなくても、
緊急時に政令(内閣令)を国会の承認なしに発行すれば済みます。
が、政令官僚様の狙いは、違うところにあります。
米国の内閣令は、連邦職員に強制する命令にすぎませんので、州職員
や米国市民に強制することは不可能ですが、
日本の緊急時に発行される政令は、驚愕の事実ですが、政府全体と
主権者皆様に強制する命令(実質的に勅令)となることが出来る事実
です。
この憲法改正が成功すれば、名実ともに政令官僚様は明治憲法下の
天皇に匹敵する権力を保有する事が出来る様になります。
ですから、政令官僚様の公開処刑が必須となる訳ですが・・・
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