アベノミクスの危機:なぜ急に株が大暴落し始めたの? |
のは、株と景気とは相関関係がないどころか、
不景気の株高と言われる現象が珍しくない事です。
そらそうですよね、株は配当分を除くとゼロサムの
世界ですから、誰かが損失しないと、利益が確定で
きませんから、最終勝者は5%ほどと言われる訳
です。
要するに、株の高低は需給で決まるという、身も蓋
も無い事実に落ち着いてしまいます。
加えて、日本の特殊事情として、外国人投資家の
支配率が6割を超えています、そして主要なトレー
ダーはヘッジファンドです。
ヘッジファンドの手口は名前が示す様にヘッジを
掛けてトレードします。
要するに、様々な金融商品(株式・FX・先物・
先物商品など)を組み合わせする事でリスクを最小
にし、そのリスク最小の少ない利益を最大化する
為にレバレッジ(20倍から40倍ほど)を掛ける訳
です。
重要な事実は、どうも円高・株安、円安・株高の
組み合わせでリスクヘッジしているヘッジファンド
が多い事です。
そして、最も重要な事実は、1990年12月のバブル
崩壊から去年まで、一貫して下げトレンドが継続
していました。
この下げトレンドから上げトレンドに転換するには
株価が大底を見ないと転換しません。
その大底を去年に見たと判断できますので、何もし
なくても株は上がる状態だった訳です。
ですから、安倍が「大胆な金融緩和」を行うと
アナウンスしただけで、急激な円安が進行し、それ
に呼応して急激な株高が進行しました。
しかしながら、4月4日に黒田が「異次元な金融緩和」
の中身を公表しました。
この黒田の「異次元な金融緩和」が池に(債券市場)
に鯨(買いオペの量)を放したので、池が酸欠(
流動性が失われる)状態になり、長期金利が急騰
し始めました。
「異次元な金融緩和」をする事で、メガバンクが保有
する長期国債を減らし、よりリスクが高い金融商品
(株・外債など)やリスクを取る融資に踏み切らせる
事で経済を活性化させる思惑があったのですが。
メガバンク側は「なんで米国の様にリスクを取る
銀行をバックアップする制度が無い日本でそんな
高いリスクを取らんなあかんねん」と距離を置いた
どころか、そんな不安定な動きをする長期国債なら
保有するリスクが高まるので、売却する動きが加速
しています。
そらそうですよね、時価会計制度なので、資産価値
が大きく変動すると、長期融資に支障が生じます。
また、「異次元な金融緩和」の目的は金利を低く
しておく事で民間が銀行からカネを借り入れ、投資
を促す事でしたが、このまま長期金利が上がり続け
ると何をしているか分らなくなります。
せっかく消費税増税前の住宅駆け込み需要があった
のに住宅ローン金利が上がれば、この需要に冷や水
をかけることになってしまいます。
そこで、黒田の選択肢は、1)前白川総裁の様な
債券市場流動性にインパクトを与えない程度の金融
緩和規模に戻すか、あるいは2)池の大きさを拡大
するか→国債を大量に発行するかしかありません。
2)の選択肢は考えにくいので、1)の選択肢に
落ち着くと考えるのが自然です。
1)だと円高が進行し、株安が進行しますが、
先ほど言ったように、去年で株価はバブル崩壊以来
の大底を打ったので、3年ほどは株高トレンドは
継続すると考えられます。
なぜなら、上げトレンドあれ下げトレンドであれ、
10年スパンで見ると、3年ほど上げトレンドが
継続し、7年ほど下げトレンドが継続するからです。
因みに、日本の個人金融資産1547兆円うち現預金
は854兆円(比率は55%)、株式は106兆円
(6.8%)です。
米国の現預金は15%、株式は33%、欧州の現預金
は36%、株式は14%です。
日本の株式比率の低さは顕著だと判ります、理由は
高リスクの株式市場に個人が投資できる環境が整な
っていないからです。
個人が高リスクを取れる環境を整備するには、例えば、
現在の時価で増資されている現在の株式分割方法を
過って行われていた額面価格で増資するやり方に変更
すれば、個人が株を長期保有するメリットが生まれます。
また、米国の様に信用取引でなくても現物株を保有
していれば、空売りポジションが取れる様にする事で、
リスクヘッジを掛けながら株を保有し続ける事が可能
となります。
ヘッジを掛けずに、ただ株を保有し続ける事は、ヘル
メットを被らずに、バイクを運転している事と同じです。
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